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羽田圭介「黒冷水」

黒冷水 (河出文庫)黒冷水 (河出文庫)
羽田 圭介

河出書房新社 2005-11
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ネタバレありのレビューです
羽田圭介は2003年、最年少17歳で文藝賞を受賞した。それが今回取り上げる本作、「黒冷水」である。(ちなみに僕の好きな作家である綿矢りさは2001年に17歳で「インストール」で文藝賞を受賞している。)
ちなみに彼は最近、「スクラップアンドビルド」を芥川賞を受賞したことでもお茶の間のみなさんに知られていることだろう。
僕は今作を前評判でドライブ感・疾走感があると聞いていたのだが、それはそこまでは感じられなかったものの、会話が多く読みやすいことは確かであった。読んで確かに、新潮よりも文藝だと感じた。これには瑞々しさがある。特に弟のあさり行為においての一喜一憂の仕方、拙い元通りの修復の仕方などには中学生ならではの瑞々しい感性が宿っている。
比喩的な意味での飛び道具としての「カッターの刃摑み取りボックス」や固形ヘロインなんてのはどうしてもやはりチープなわけであるけれども、それらは冒頭からバラエティ番組の小堺一機のパロディをぶっ込んでくる流れに合わないこともないという奇妙なバランスを保っている。
しかしとはいえ、終盤の終盤になって急に物語自体がメタ化される憂き目にあってからがまた問題である。これを蛇足と取る人も中にはいるかもしれないが、蛇足は蛇足であってもこれは必要な蛇足である。これによって中盤でもその予感を仄めかしていた事態が一層大きな核の部分となって浮き上がることとなるのである。そこでは兄が弟を狂人とみなし「己が狂人だと自覚させねばならない」と思い込んでいる。これは僕が経験した読書の中で最も新しい手法であった。つまり主人公自らが狂人になろうとする、あるいは狂人になりたいと願う、狂人になる、などの作品はあるが、「他人が狂人でありそれを自覚させねばならない」という、他人を狂人とし、そのことによって間接的に自分が狂人たることを明証するのである。
作品の批評に作者の年齢を持ち込むなど不遜も甚しいことであるのは承知の上で言うと、筆者である彼、羽田が知ってか知らずか分からないが、この構図を17歳で発見したのは驚嘆あるいは、称賛に値する。
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